ランシュが違法なロボットだと知りながら容認し、虚偽の報告を行っている。
 科学技術局に知られれば、間違いなく裁かれ、重い罰が科せられるだろう。

 ロイドはユイを抱き寄せ、髪をなでた。


「おまえを共犯者にしてしまったな」
「平気よ。私もあなたと一緒なら、どこまでも共に墜ちるから」


 にっこりと微笑むユイを促して、リビングのソファに移動する。

 ロイドはランシュと口裏を合わせた、二年間の経緯をユイに話した。

 ランシュは二年前、意識が朦朧とした状態で、誰かに拾われ遺伝子治療を受けた。

 その者がなぜ、そんな事をしたのか不明だが、大方自分の研究成果を実証してみたかったのだろう。
 科学者なら、よくある動機だ。
 ランシュは好都合な実験体だったのだ。

 術後目覚めたランシュは、病室に閉じ込められ、食事も小さな窓から差し入れられるだけで、誰とも顔を合わせていない。
 時々、医療ロボットがやって来て、検査が行われた。