夜になり、ロイドはいつもより早めに家に帰った。
 ランシュが戻って来たことで、科学技術局内は大騒ぎになり、ロイド自身もそれに追われていたが、他の局員たちも仕事が手に着かず、局内の仕事が停滞してしまったのだ。

 明日になれば副局長に尻を叩かれて、仕事は回り始めるだろうが、騒ぎそのものはしばらく収まりそうにない。

 玄関の扉を開けると、ユイがいつものように笑顔で出迎えた。
 挨拶のキスを交わした後、ロイドが一人な事に気付いて、不安そうに尋ねる。


「ランシュは?」
「検査が長引いてる。先に帰ってくれと言われた」
「変なとこでも見つかったの?」

「いや、その前に事情説明や問診が長引いたんだ。検査の方は、あいつなら大丈夫だろう」

「よかった。じゃあ、帰ってくるのね」
「あぁ」


 ロイドが頷くと、ユイはホッとしたように微笑んだ。