先ほど寝室にやってきたランシュに、ロイドは二つの道を示し、本人に選ばせた。

 ひとつはロボットとして生きる道。
 もうひとつは人として生きる道だ。

 ロボットとして生きるなら、身体の機能は今のまま、一切手を加えない。
 そのかわりランシュの作った人格形成プログラムと、絶対命令をインプットする事が条件だ。

 これにより実質的に今までのランシュは消滅し、ランシュと同じ姿形をした全く別のロボットとして生きる事になる。

 そして人として生きるなら、人格形成プログラムと絶対命令はインプットしない。

 かわりに視力、聴力、筋力等の身体機能を、人間並みにデチューンする。
 そして寿命を設定し、数年に一度人工皮膚の老化メンテを行う。

 ロボットの身体にランシュの記憶と心を持って、それを他人に知られないようにしながら、人と同じように生きる事になる。
 制限はロボットとして生きるよりも、かなり厳しい。