ロイドは横から顔を出し、フェティに説明する。


「詳細は不明だが、モグリの医者かバイオ科学者に、遺伝子治療を受けたらしい」
「そんなこと……」


 眉をひそめるフェティに、ロイドはピシャリと断言する。


「それしか考えられない。だが本人は当時の記憶が欠落している。瀕死の状態で、意識が混濁していたんだろう。誰に助けられたのかは不明だ」

「そうですか……」


 フェティは一応、納得したようだ。
 チラリと部屋の隅に視線を送ると、ユイが目も口も大きく開けて、間抜けな顔でこちらを見ていた。

 ここで騒がれては元も子もないので「黙ってろ」と目で制する。
 ユイは両手で口を押さえて、コクコクと頷いた。

 ロイドは再びフェティに視線を戻して、指示を出す。