ユイが起きてしばらく経った頃、寝室の扉がノックされ、ロイドは目を開いた。

 ゆうべは、ほとんど眠れなかった。
 ランシュがコッソリ出て行く事を期待して、ウトウトしては目を覚ます事を繰り返した。
 だがそれも徒労に終わったようだ。

 扉の外から、耳慣れた声が聞こえる。


「先生、起きてますか?」


 ロイドは大きくため息をついて、身体を起こす。
 ベッドを出て答えた。


「起きている。入れ」


 扉が開き、薄暗い室内にランシュが入ってきた。

 それにチラリと視線を送り、ロイドは窓辺に寄って、カーテンを勢いよく開く。

 ロイドの心とは対照的に、雲ひとつない青空と眩しい朝日が、寝不足の目の奥に刺すような痛みを与えた。