もしも可能だとしても、公開されていない技術で行ったとなれば、それを行った者は罪に問われるだろう。
 ランシュが恩人のそいつを売るわけがない。

 ロイドは軽く息を吐き、質問を変えた。


「ここへは何しに来た?」
「え?」


 ランシュは意外そうに目を見張る。


「十日ばかり通っていたそうじゃないか」

「お菓子を買いに来ていただけですよ。ベルおばあちゃんがユイのお菓子を気に入っていたから」

「カードに細工してまでか?」

「だって、オレのカードを使ったら居場所がばれて、局に連れ戻されるでしょう? もう彼女に返しましたけどね」

「そのカードを調べれば、細工の跡はわかる。そこからおまえにたどり着くだろう」