自室に入って、作業机の前の椅子に座り、ランシュには予備の椅子を出して座らせた。

 椅子に座ったランシュは、黙ったまま探るように見つめている。
 ロイドの生体反応から、心理状態を探っているのだろう。

 ロイドは静かに口を開いた。


「腹を割って話さないか? オレは本音で話すから、おまえもそうして欲しい。どうせオレがウソをついても、おまえには分かるんだろう?」

「そうですね。今のあなたは落ち着いています。少し脈拍が早いようですが、異常な発汗は見受けられません。脳内ベータエンドルフィンの値が上昇しています。緊張しているというより、少し心が高揚していますか?」


 ランシュの性能の一端に触れ、ロイドの心は少しどころか益々高揚する。


「その通りだ。おまえの性能を確認できる事に、ワクワクしている」


 無表情だったランシュが、クスリと笑った。


「オレの思考能力のテストってわけですね」
「それだけじゃない。色々聞きたい事があるんだ」
「わかりました。あなたがウソをつかない限り、オレも本音で話します」


 ランシュにはロイドの心理状態は筒抜けでも、ロイドにはランシュのウソは見抜けない。

 だが今は、ランシュの言葉を信じる事にした。