夕闇の迫るラフルールの街を、ロイドは重い足取りで家路を辿る。

 せっかく副局長が早く帰れと言ってくれたので、素直にいう事を聞いて、いつもよりかなり早い時間に科学技術局を出た。

 家に連絡すると、ユイは心底驚いていた。

 昨日、反故にしてしまったユイとの約束が果たせるのは嬉しいが、ランシュに告げなければならない事を考えると、気が重い。

 ランシュが家にやってきて、一月近く経過している。
 彼の復讐でユイに危害が及ぶのを警戒し、しばらく様子を見る事にしたが、そろそろ決断を下さなければならない。

 いつまでも局に、隠しておくわけにはいかないのだ。
 ランシュが二年前に死亡したという事実を。

 一番の問題は、ランシュにそっくりな違法ロボットの存在だ。

 人間そっくりでありながら、人間以上の能力を持ち、絶対命令を持たないロボットを野放しにするのは危険だ。

 局に引き渡せば、間違いなく機能停止処分になるだろう。

 あれはランシュではなく、そっくりなロボットだと、頭では理解している。
 けれど心の中では、ランシュが元気になって戻って来たという思いを、ロイドは捨てきれずにいた。

 それが決断を下す事に、気を重くさせる。