結衣は感心したようにつぶやく。


「すごいわね、ランシュの身体って。ほとんど人間と変わらないじゃない。っていうか、人間より便利ね」

「うん。だけど、人間ならみんな出来るのに、オレにはどうしても出来ない事が、一つだけあるんだ」

「何?」


 結衣が首を傾げると、ランシュは悲しそうな表情で微笑んだ。


「眠って夢を見る事」

「夢を見ないの?」

「うん。ていうより、オレは眠らないから。夜は省電力モードでスタンバイしてる」

「え? じゃあ、今朝私が部屋を覗いたの、知ってた?」

「うん。晩ご飯食べてなかったから、充電中で動けなかっただけ」