「ねぇ、食べたものはどうなってるの?」
「分解してエネルギーに変換してる。人間と一緒だよ。排泄はしないけどね」


 言われてみれば、ランシュがトイレに行くところを見た事がない。


「全部分解してるの? 味も分かるのよね?」

「うん。味覚センサを切ったら、何でも食べられるよ。生ゴミ処理機にもなれる。けど、昔の記憶があるからさ、やっぱ人が食べられないものは遠慮したい」


 ランシュは通常、食物の口腔摂取により、エネルギーを補充している。
 それが出来ない場合は、充電によって賄うらしい。

 いざとなったら何でも食べられるので、そう簡単には死なないと言ったのは、そういう理由なのだ。

 排泄もしないし、汗もかかない。
 人間のように新陳代謝で、皮膚表面が汚れる事はないので、本来なら、泥や埃をかぶったりして物理的に汚れない限り、お風呂に入る必要もないらしい。