バイナリー・ハート

 局員となる事で責任と守秘義務が課せられ、外出も認められるようになったが、常に監視はついていた。

 二年前に入院中のランシュの監視は緩かったようだが、どうやって監視の目を逃れて失踪できたのかは謎だ。

 病院を抜け出したランシュは、科学技術局に戻っている。
 局内随所に設置された、監視カメラに映像が残っていた。

 そこまでは足取りが掴めているが、その後局から出て行った経緯が不明だ。

 動くのもままならない状態だったランシュが、いつ、どうやって、局から抜け出したのかわからない。

 それも気になるが、今、目の前にいるランシュの姿の方が、ロイドには驚異だった。

 老人のようにやつれていた面影が、全く見られないどころか、すっかり若返っている。

 二十年前の未完成なクローン技術のせいで、ランシュの身体は十代半ばから老化を始めていた。
 そして二年前には、わずか数ヶ月で急速に老化が進み、動くのもままならない状態だったのだ。