バイナリー・ハート



「身体に関しては、サンプルになるのが自分の身体しかなかったんだ。裸になって隅々まで念入りに見せてくれる人っていないよね。リアルにこだわってたから、データだけで作ったら絶対ウソっぽくなると思って」

「そんなにリアルなの?」

「かなりね。産毛の一本一本から指紋まで。全部見せてあげられないのが残念なくらい」


 そう言ってランシュは、イタズラっぽく笑った。


「顔の方はサンプルデータは取ったけど、オレの知ってる限りじゃ決めてなかったんだ。だから憶測だけど、目が覚めた時、別人になってたらビックリするから一緒にしたんじゃないかな。実際、オレも目覚めた時、しばらく頭が働かなかったし、身体をうまく動かせなくて混乱した」

「うーん。確かに、別人になってたら混乱するわね」


 結衣は先ほど気になっていた事を尋ねた。