科学技術局の局長室でロイドは、朝から何度目か分からない、大きなため息を吐き出した。

 机に両肘をついて、項垂れた頭を両手で支えながら、腕の間に置かれた書類を見るともなしにぼんやりと眺め続ける。

 突然目の前に書類の束が差し出され、ギクリとして顔を上げると、冷ややかに見下ろす副局長フェティと目が合った。

 彼女は表情を崩すことなく、書類を机の上に置いた。


「先ほどから何度も声はかけました。今日上がってきた申請書類です」
「あぁ、すまない」


 ロイドは気のない返事をして、書類を受け取る。
 ペンを取り書類に目を通そうとして、ふと顔を上げると、てっきり立ち去ったものと思ったフェティが、まだ見下ろしていた。


「どうした?」
「いえ。体調を崩していらっしゃるのかと思って」
「いや、大丈夫だ」