バイナリー・ハート

 機密だらけの科学技術局内の事を外部に漏らせば、守秘義務違反で罪に問われる。
 ユイもそれは承知していた。

 ロイドは科学技術局の局長という立場にある。
 とはいえ局内の事が全件ロイドに一任されているわけではない。
 重要な決定事項はロイドを含めた数名の幹部局員が、協議の上で決定する事になっていた。

 ロイドはリビングのソファにランシュを座らせ、自分もその斜め前に座る。

 訊きたい事は山ほどある。
 何から訊いたらいいのか迷って、ロイドが黙っていると、ランシュがクスクス笑い始めた。


「ユイって、あなたの奥さんですよね? 奥さんにも局の事は秘密なんですね。さすが局長。守秘義務も徹底していらっしゃる。じゃあ、オレの事も話してないんだ」

「当たり前だろう」


 ランシュは存在自体が、科学技術局のトップシークレットだ。

 二十年前、科学技術局の人工子宮から、ランシュは生まれた。