ハッとして目覚めると、結衣はベッドの上にいた。
 隣ではロイドが、結衣を抱えるようにして静かに寝息を立てている。

 外はまだ暗い。

 結衣はロイドの腕の中から這い出して、枕元の時計を取った。
 時刻は三時半を少し回っている。
 いつも起きる時間よりは、少し早い。

 ゆうべロイドの帰りを待って、リビングで本を読みながら、ウトウトしたのは覚えている。
 そのまま眠ってしまったのを、ロイドが運んでくれたのだろう。

 ランシュはあれから、夕食もいらないと言って、部屋にこもったまま一度も出て来ない。

 結衣がイヤだろうからと、ランシュは家を出ていくつもりでいるらしい。

 結衣自身はイヤではない。
 想いに応える事は出来ないが、ランシュの事は弟や友達のような意味で好きだ。
 こんな風に気まずいままで、別れたくはない。

 なにより、身を隠さなければならないランシュが、行く当てもない上に、カードも使えない状態で出て行って、この先どうするつもりなのか、それが心配だった。