まるで時が止まったかのように、二人して黙ったまま見つめ合った。

 リビングの大きな窓から差し込む、午後の柔らかな日射しが、ランシュの髪をキラキラと眩しく縁取る。
 まるで天使の後光のようだと、全く関係ない事を結衣は思っていた。

 ランシュは結衣が、ロイドの妻だと知っている。
 好きだと言っても、深い意味はないのかもしれない。

 けれどロイドは、ヤキモチを焼いていた。
 もしかしてロイドは、ランシュの気持ちを知っていたのだろうか。
 だからランシュに冷たい態度を取り、気を許すなと忠告したのだろうか。

 憶測では結論が出ない。
 ランシュに直接、どういう意味なのか確かめなければ。


「あ、あの……」


 結衣が意を決して口を開くと、ランシュはそれを遮るように更に抱き寄せ、耳元で囁いた。


「ずっと好きだったんだ。ユイが結婚してるなんて知らなかったから」


 どうやら、軽い意味ではないらしい。