家にたどり着いたロイドは、真っ直ぐユイの店に向かう。

 半分開け放たれた扉の奥に、ショーケースの向こうで笑っているユイの顔が見えた。
 閉じられた方の扉の影にいる客と話しているようだ。

 ロイドの姿に気付いたユイは、驚いたようにこちらを向いた。


「ロイド。どうしたの?」


 ロイドは閉じられた方の扉に手をかけ、中を覗いて愕然とする。
 扉の影にプラチナブロンドの人影を目にした途端、まるで時の流れが遅くなったような錯覚に陥った。

 ユイの声とロイドの気配に、ゆっくりとこちらを向いたそいつは、紛れもなく二年前に失踪した、ランシュ=バージュ本人だった。