「うん。ありがとう。でも、この子、階段から落ちたりしない?」

「大丈夫。ちゃんとセンサで自分の動ける場所は感知してるから。それに今日のところは、念のためオレが見てるし」


 突然蒼太の大あくびが聞こえ、結衣は眉を寄せてそちらに目を向ける。


「もう。夜更かしするから眠いのよ。何時まで起きてたの?」

「二時前かな? だって十時に消灯って、小中学生の林間学校じゃあるまいし。そんな時間に眠れねーって」

「ロイドは毎日真夜中に帰っても、朝はきっちり起きるわよ。あんたの気合いが足りないのよ」


 隣でランシュが、マカロンを見つめたままクスクス笑った。

 蒼太は少し顔をしかめた後、ふと思い出したように問いかけた。


「そういえば、朝洗面所で鉢合わせした時、ロイドさんに睨まれた気がするんだけど、オレ、何かしたっけ? 姉ちゃん、聞いてない?」