三日後ランシュは、ロイドに借りたノートパソコンで制御用のプログラムを作成していた。

 何が出来るのかは分かったらしく、ロイドから追加でプログラムの仕様書をもらったらしい。

 何を作っているのか結衣が再び尋ねたら、イタズラっぽい笑顔で「ヒミツ」と返された。

 この三日間ランシュは、掃除と買い物と食事の支度は今まで通り手伝ってくれたが、それ以外の時間は一日中謎のマシンに夢中になっている。

 科学技術局を辞めた理由は分からないが、もしも病気が原因で辞めたのなら、本当は辞めたくなかったのではないかと結衣は思った。

 結衣の推理が正しければ、多分ランシュは違法な事に手を染めている。
 それを考えると、科学技術局への復職は限りなく無理っぽい気もする。

 けれど、これだけ夢中になっている姿を見ると、国の機関は無理でも、民間の関連機関とか、何か社会復帰の道はないものか、ロイドに相談してみたかった。

 ロイドは相変わらず毎晩帰りが遅く、顔を合わせるのは朝食の時になる。

 ランシュの目の前で話すのも気が引けるので、結局話せないままだった。