結局ランシュは服の他には何も買わず、結衣と一緒に夕食の買い物を手伝って家に帰った。

 買ってきた物を冷蔵庫に入れていて、味噌が残りわずかになっている事に気付いた。

 クランベールに味噌はない。

 結衣は一通り荷物を片付けた後、欲しい物リストと共に、実家へ手紙を書いた。
 リビングの隅に置いてある、物品専用の時空移動装置に手紙を入れて実家へ転送する。

 時空移動装置ミニは、人捜しマシンをそのまま小さくしたような形をしている。
 底辺の直径は五十センチくらい、高さは一メートルくらいで、天辺は丸いドーム状になったガラスの筒だ。
 頭頂部には転送確認の赤いランプもついている。

 大きさ的には人間の子供くらいは入れそうだが、人は転送できない。

 機械が苦手な結衣でも簡単に操作できるように、機能はかなり限定されている。
 ボタンひとつで転送できるように、転送できる物も決まっているのだ。

 一時間後、母からの返事が届いた。
 今夜八時に味噌が届く。