■私と携帯電話 ばりばり、と彼は私の携帯電話を咀嚼していた。部屋の電気も付けず、無我夢中になって噛み砕いていた。割れた液晶の破片が刺さったのか、唇から血が垂れてきている。否、それはもしかすると、私の携帯電話が出血したからかもしれなかった。 「おいしかった?」 と私が聞くと 「まあまあだね」と彼が笑った。