話を聞いてもらえず
楽しくない中野は一気にビールを飲み干すと
テーブルへ勢いおくドンッとジョッキを置く

その音に少しビクッとした津川は中野の方をチラッと見ると
目があってしまったのだ
中野は良い話し相手が捕まったと言わんばかりに目を輝かせ津川に話しかけるのだった

ここから2人の関係が始まった

中野に捕まった津川は少し面倒くさそうにだが相槌をうちながら話を聞いていた
中野は自分が惚れている女性がどれだけ素晴らしい人なのかを永遠と話す勢いでしている

「でな、そのナナコさんはな!」

中野が得意げに話しているその時だった
バンっ!と机を叩く音が響く

今まで意気揚々と話していた相手を呆然と見ると津川は机を叩いた勢いで立ったまま
どこか信じられない...と何かを疑っているような顔をしていた

「ど、どうした?」

少し怯えながら尋ねる中野の方を不安そうな顔で見る津川が口を開く

「今...ナナコさんって聞こえたんだが...」

「あぁ、確かにそう言ったが」

「お前の言うナナコさんって、まさか○×カード会社に勤めてるナナコさんじゃないだろうな!」

「何で知ってるんだよ、知り合いか?」

驚いた様子の中野とは違い
津川はなぜか
机にうなだれてしまった