「はあ?!ならお前にはお似合いだと思ってるのかよ!」

「俺がどうこう言うよりお前には似合わなすぎるんだよ!」

「ふざけんな、選ぶのはナナコさんであってお前じゃない」

「ま、せいぜい頑張りな」

「連絡先もしらねぇお前には言われたくないわー、避けられてるんじゃね?」

「ちょっとメアド知ってるからって調子に乗ってんじゃねえよ!」


段々とエスカレートしてくるケンカと声のボリューム
常連さんが多い飲兵衛では
周りの客も段々慣れてきたのか
またやってる、飽きないなあ

っと呆れ顔
中には若いっていいね、なんて言いながら笑っている人まで居る

「だいたい!津川お前なあ、スーツ着こなしてるのはいいがネクタイのセンス悪いんだよ!」

「お前には言われたくないっての!家が近所なのか知らないけどTシャツ短パンビーサンって、ここは海か!!」


ついには、ナナコさんが関係ない事までお互いをけなし合っていた
さすがの店長もここまで来ると苦笑い
微笑ましくもなんともなかった

だが、たまたま客が少ないのもあり
周りの客も呆れてはいるが迷惑そうにしている人もおらず注意することはなかった

実は周りの人は気が付いてないが
前に2人を怒った後、お客さんや従業員にまで色々と言われた店長は少し恥ずかしい気持ちになっていた
だから出来れば自分は目立ちたくないのだ

周りが迷惑がってないなら放っておこう、と静かに思っていた