「中野さんそんな怖い顔しないで、これ試作メニューなんだけど食べてみて」

微笑ましく見ていた店長が2人の間に入る
最初こそ呆れていたが
2人をずっと見ていると
なんだか先が楽しみになってきていた
今では店長もどちらかとナナコさんとやらが引っ付けばいいと思っている

大喧嘩をしたり暴れたり
客に迷惑をかけたりと
困ることの方が実際多いが
2人とも純愛だと感じられる
純粋にナナコさんを思っているのだ

これがナナコさんの気持ちも考えずにつっぱしってるのなら応援も出来ないが
実際は裏では大口叩いてるが、2人ともチキン野郎だ
そこまで行動には移せない
店長には見抜かれていた


「これ旨いね、なに?」


「砂肝をピリ辛に味付けしてみました」


試作メニューを食べて少し機嫌が良くなった中野はパクパクと全部平らげた
店長も旨いと言われ、ちょっと嬉しそうだ


「試作品だったけど旨いって言ってくれるならメニューに入れようかな」

「なになに?俺にもちょうだい」


ケータイ画面をずっと見ていた津川も試作メニューとやらが気になったのか話に入ってきた


「わり、全部食った」

「それ試作メニューだから出しただけだったんだ、ごめんね」

「はぁ!?ふざけんなよ、全部食うなよ!」

「ケータイ見てニヤニヤしてるお前が悪いんだろ」

「はぁ?!?」


やれやれ、また始まった
今日はおとなしい方だと思ったのに
っとやっぱり店長は呆れ顔

それでもどこか楽しそうな
そんな表情でもあった