はぁ...っとため息を吐く店長

「あんまりうるさいと客だからといえ出禁にするぞ」

いつもは優しい店長が切れると怖い
恐怖という代償と共に分かった情報だった

「「すいません...」」


「居酒屋だから多少うるさいのは仕方ないし少しは構わないけど、おまえ等はうるさすぎだ」

「「はい...」」

「しかも楽しくて騒いでるんじゃなくケンカ、俺の店潰すつもりか?」

「「滅相もございません!!」」


「周りのお客様はおまえ等のケンカでせっかくの酒が不味くなってんだよ」


もう、返事をする事も出来ないようだ
2人とも子供みたいにシュンッと落ち込んでいる

だが店長は怒るのを止めない
相当我慢していたのかもしれない

もう少しで三十路だといういい大人が常識云々で店で怒られる

見るに見れない光景だ

周りの客はその様子をみてクスクスと笑っている

ケンカしてると思ったら怒られてヘコむ

まるで子供だ
いや、最近の子供の方がまだ賢いかもしれない

店長は一通り怒り終わると仕事へと戻った

もはや言い合う気力など無くなっている2人は
冷めた焼き鳥を頬張った

完全に酔いも醒めたが
さらに飲む気にはなれない

つまみを食べ終わると2人は静かに店を後にした