長い間
見せろ、見せない
見せろ、見せない

っと騒いでいる2人だが
明らかに楽しくて騒いでいるのとは違う
ケンカだ
周りで飲んでいる客は迷惑そうな顔をしている
せっかく癒されに来ているのに仕事が終わってまで人の争いごとは見たくない

だが自分達の事でいっぱいいっぱいの2人は
その様子に気づくはずもなく


「やましい事がないなら見せやがれ!!」

「大体どんなメールだろうが人に見せたりするか!」

「いや、俺は見せるね!」

「お前はナナコさんとメールしてないだろうが!」

「してたらの「ドンッ!」...」


話だ、っと続くはずだった中野の言葉は店長によって遮られた
カウンターに座る2人の間に
わざと机が大きく音を立てるように置かれた2つのビールジョッキ
だが中身はビールではなく透明だった

店長の不気味な笑顔は2人を冷静にさせる

「お客様ほかのお客様のご迷惑になりますので、とっとと水でも飲んで酔いを醒ましてもらえませんか?」

ニコニコと笑っているはずの店長だが2人は恐怖しか感じなかったみたいだ

無言で何度も頷くと
水がたっぷり入ったジョッキを手にとり慌ててイッキ!
誰も全部飲めとは言っていないのに一滴残らず飲み干す