退勤時間になった私は、帰り支度をしていた。 そこに芹沢くんがブレイクルームに入って来る。 「あ、芹沢くん、お疲れ様。」 「お疲れ様です。」 「あっ、芹沢くんも、今日は上がり?」 「はい。」 一緒に、店を出る。 と、同じ方向に歩き出す。 「あれ?芹沢くんも、こっち?」 「そうです。」 「そうなんだ。私はこの先のマンションなの。」 芹沢くんは、驚いたような顔をして、 「僕も、その先のアパートです。」 私のマンションから、目と鼻の先に住んでいるらしかった。