桜並木の下で 下 ~十月から三月~





 え…?




「俺、あいつがマジ泣きしてるの初めて見た」



 京が笑った。



「つーかさ、泣くほど奈美のこと好きならさ、告白すりゃいいのによ、だるいだの、なんだのって言ってよぉ。で、告白しずに泣いてんの。バカだよなぁ」




 !?



「そういや、いつだっけ?翼の奴、奈美を襲った後、感触が残ってるとか騒いでたよな」


「あ、そういや、こんなこともあったよな。奈美に好きな奴がいるとかで、泣きそうな顔してたこと」




 私は、腕時計を確かめた。



 四時半。



 空港まではバスで十分。