「俺から言えることは限られてる、だけど」
少しでも誤解やわだかまりを解きたい。
「…両親は、怒ってなんかいないし、二人のこと嫌ってなんかないよ」
「…私達のこと嫌いじゃない?」
「…なら、どうして?」
「…こんなこと、信じてもらえないだろうけど、…怖かったんだよ。勇気が無かったんだ。意地を張って、素直になれなくて、…会おうと思えばいつでも会えるんだからって、言い訳して」
「…っ、じゃあなんで、会おうと思えば会えるって、思ってたんなら、どうして母様が亡くなる前に会いに来なかったの?」
珠花の悲痛な訴えが、心に痛かった。
「…連絡、したんだ。最期になるかもしれないって、会いに来いって、だけどその時仕事で日本にいなくて、連絡を取るのも正直難しかった。だから、俺の連絡を両親が受けとったのは…」
「…母様が、亡くなった後」
朔乃の静かな一言が、やけに病室に響いた。
「…そう。その連絡を聞いて、母様…、二人のおばあ様はパニックになって、倒れて病院に運ばれた。おじい様も、ショックを受けてすぐには動けなかった」

