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―忘れたことなんて無かった。
大切な大切な家族だから。
一緒に外で遊べなくても、病院にいることの方が多くても、いつも優しくて笑顔の似合う姉様が大好きだった。
小さな頃はいつも姉様にくっついて、笑う顔が見たくて、甘えていた。
思春期に入っても姉様だけには素直になれて、心を許して甘えていたように思う。
―だから、姉様が抱えている暗闇なんて知らずに、そんな幸せな時間がずっと続くと思っていた。
けれど崩れるのは一瞬で、姉様が心に負った傷を知った時、すでに姉様は家を出て行った後だった。
どれだけの覚悟だっただろう。
たった一人で、自分の決意を曲げずに真っ直ぐに貫いた姉の姿は、誇らしかった。だけどそれと同時に衝撃だった。
自分はこのままでいいのかと悩んだし、姉様が一人で苦しんでいたのに、なにも出来なかった自分に腹が立った。
―だから、強くなろうと、自立した大人になって姉様を迎えに行こうと決意して、必死で頑張った。
なのに間に合わなかった。
最期に会えてよかった?
違う。そんなの望んでなんかなかった。

