夜明け前



ひとまず珠花ちゃんを病院まで連れて行き、診察をして処置をした。


肺炎の一歩手前だった。


つらかったはずだ。


迷惑をかけまいと我慢して、…二人とも我慢することに慣れすぎている。


…違う、私達がそうさせているんだ。


一番つらいはずの彼等が現実を受け入れて耐えているのに、私達大人は現実から目を背けている。


そんな大人達に、敏感で賢い彼等がなにかを求めてくるはずがない。


求められるはずがない。


私達を気遣うことはあっても、自分達のことを言うことは一度も無かった。


なんて不甲斐無いんだろう。


こんなことになって、初めて気づくなんて遅すぎる。


なんて無責任で愚かなんだろう。


―でも、それでも。


あなた達のお母様には到底敵わないけれど、大切に想ってる。


許して欲しいとも、無かったことにして欲しいとも思わない。


けれど、チャンスが欲しいの。


…我が子のように想っているから。