夜明け前



「…ん、そうだな。…ありがとう。会ってくる。…翔子さん」


「……ごめんなさい、取り乱して。…あなたに言うことじゃ、ないのにね」


そう、今は母様が心穏やかに、安らかに過ごせるようにしなければいけない。


二人の背中を見送って、さくの肩に頭を預ける。


そうすればさくももたれて来て、二人で寄り添いながら、手を繋いで。


「…なんか、夢を見てるみたい」


「…うん。俺も、実感が湧かない」


「ね。…夢だったらいいのに」


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「―くん、珠花ちゃん」


優しく肩に手を置かれて、知らないうちに眠っていたんだと気づいた。


「―しょお子、先生」


目を擦りながら呟やけば、


「ふふふ、おはよう。疲れてたから眠っちゃったのね、ベッド貸してあげればよかった。ごめんね…」


そう言いながら頭を優しく撫でてくれる翔子先生に、無意識に擦り寄っていたみたいで、私にもたれたまま未だに眠っていたさくが、ずり落ちて頭をぶつけていた。