「二人とも、…母様じゃなくて申し訳ないけど、…おいで」


そう言って、優しい表情を浮かべた翔子先生がこちらを向いて腕を広げていて。


その姿に私もさくも少し気持ちが和んで。


二人してその腕の中に飛び込んだ。


ぎゅっと私達を受け止めて、抱きしめてくれる翔子先生。


「…どんな言葉も、今は辛いだけ。だから私はあなた達家族を心から大切に思ってる、それだけ忘れないでいてね」


そう言ってくれた先生に、泣きそうになった。


だけど、泣かないと決めたから。


「…はい。忘れません」


「ありがとうございます。俺達も、先生達のこと大切です」


必死に涙を押し殺して笑った。


―そうしていると、様子を見守っていた看護士の佐倉ちゃんが、


「…っ私も!」


と駆け寄ってきて、抱き着いてきた。


「私も大切に思ってるから、だから、いつでも頼ってね」


優しい人達に囲まれて、支えられて…幸せを感じて、沈みそうになっていた気持ちが浮上するのがわかった。