夜明け前



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リビングのソファで眠るしゅーを起こすのは、いつものこと。


「しゅー、ここで寝ない。お風呂もまだでしょ」


「ん。わか、て、る」


「わかってないでしょ。あ、こら、丸くならない。…いーち、にー」


「…はい、る」


ゴンッ


「ッ…」


ガチャ、パタン


「ぶっ(笑)大丈夫かな」


…あぁゆう所、母様とそっくり。


『笑ってたんだけど、泣きそうだった』


そう珠花が言った時、思い出されたのは幼い頃のあの日のこと。


泣きそう?


なにか隠してる?


…いや、なにか、なんてない。


毎日一緒にいたから、離れて過ごす内に少し寂しくなっただけだろう。


俺達だって寂しいんだから、あの母は尚更だろう。


そう考えて、気持ちを落ち着かせる。


きっと大丈夫。


明日、会いに行こう。