夜明け前



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気付けば時間はあっという間に過ぎていて、


『あー、じゃあHRで紹介だけして、今日はそれで終わりにしよう』


『『『………』』』


『うん、ちょうどいいよねー』


ちょうど、いいんだろうか?


と、そんなゆるーい時間を過ごしまして。


今、私とさくがいるところは、藤乃宮学園特別棟の3階中等部の廊下。


Sクラスは、幼稚舎から高等部まで特別棟にまとめられているらしい。それもまたびっくり。


「なんか、学校じゃないみたい」


「しゅー、絶対に迷子になるよね」


「ならないし」


「はは、すぐ慣れるよ」


そう言って、啓太先生が立ち止まったのは、1年Sクラスと書かれたプレートが目立つドアの前。


「わぁ、ドアまで豪華」


カラカラってやつじゃなくて、二枚開きの、枠までオシャレな感じ。


「しゅー、本当に緊張してないんだね」


「え?うん」


どっちかっていうと、ワクワク。


「くくっ、兄貴は大変だな?」


「はい、不安です」


「なんでも聞くから。……じゃあ、入るぞ?」


「「はい」」