夜明け前



『退屈するのもわかるよ。先生も同じ立場なら嫌だし』


うん、退屈しちゃって落ち着かない。


『じゃあ、どうしてつまらないことを我慢しないといけないのか』


そう、皆我慢してる。えらいなぁって思う。


『本当は皆も我慢したくない。それはわかる?』


『わかり、ます』


痛いほどにね。


『うん。………だからさ、皆も我慢しないでいいんだよ』


うん、先生が言いたいことはわかるよ、けど、…けど?


『…あれ?』


『『『は?』』』


『…大体さぁ、固いんだよ。そんなにサボんなたら、集中して聞けって言うなら、それだけのもん作れよって話。皆で仲良く取り組みましょうだぁ?無理だね。いつの時代だよ。今時のガキ共はオトナが思ってるより考えてんだっつの』


そうだよな?ってピシッと伸ばしていた背筋を緩めて、ソファーに深く座り込む啓太先生。


わぁ。早口。


『そりゃあまぁ、我慢することも大事。けどそんなもん自分でそう思わないんなら、いくら言ったって耳にタコ。押さえ付けたってウザいだけ』


うん、確かにそう。