夜明け前



『…今言ったこと、気をつけていれば5をもらえたはずだよ』


ふふ、なんで4なんだろうね?ニコッと首を傾げているさく。


『…なんでだろう、ね』


目、合わせないでいよう。


『くくっ、はぁ、』


笑っているのは、我らが担任。啓太先生。


『はー、最高。涙出たし』


『…笑い事じゃないと思います。先生』


はぁ、とため息をついているさく。


『…だって』


『『『『だって?』』』』


う。


『…だって、つまらないんだもん』


つまらないし、忘れちゃうし。


『…それだったらまぁ、しょうがないよ、珠花』


『そーちゃん?!』


『つまらない授業が悪いんだよねー。わかるわかる』


『理事長?!』


もー!なんでそうなるんですか!!と頭を抱えているさく。


…正直になってみただけだもん。


『珠花ちゃん』


さっきまで笑っていた啓太先生がこちらを向いた。


『はい』


『つまらないのは、楽しくないよな。わかるよ』


わかってくれるの?