夜明け前



―コンコン


そうこうしている内に、扉を叩く音がして。


「はいはいどーぞー」


気の抜けた理事長の声に促されて入って来たのは。


―カチャ


「…失礼します。遅くなって申し訳ありません」


わぁ、執事みたい。


なんて思っちゃうくらい、優雅な人。


「大丈夫大丈夫ー。けーたくん、こちら紹か、」


「ありがとうございます。存じております。本城朔乃くん、本城珠花さん。だね?」


「あ、はい。はじめまして」


「はじめまして…」


理事長に向ける視線とは違って、優しげな表情でこちらを向いたその人。


誰だろう…?けーたくんって、言ってた。


「はじめまして。俺は二人の担任の、氷月啓太です。よろしく」


「「!」」


担任の先生なんだ!


「……つのぴーと全然違う」


思わず、ぽつりと。


「……ぶふっ」


あ、さくが吹き出した。


「「「……つのぴー?」」」


そして大人達は仲良くハモってる。


「……あ、いや、えっと…」


どうしよ、なんて言おう。