帰り道。
20分の距離をひたすら歩く。
…さくって、昔からモテるよなぁ。
『…珠花ちゃんばっかり、ずるいし!』
ってよく言われたっけ。
『兄妹だし。ずるいの意味がわからないんだけど』
…そう言えればどんなによかったか。
恋する乙女の凄まじい空気に押されて、黙るしかなかった。
女の子って、みんなこうなんだろうか。
少なくとも、私の周りはみんなそんな感じだ。
目がギラギラしていて、うん、怖い。
そんなことを考えながら、我が家へと足を向ける。
…なにかお菓子あったっけ。
チョコが食べたい食べたい。
「?」
ふ、と少し前を見れば。
仲よさ気に歩く二人。
「あれ、B組の相野さん、と、…さく」
学年で評判の美人。
相野さん。
顔と名前を覚えるのが苦手な私でもさすがにわかる。
そんな美人と、これまた学年で評判の兄、朔乃。
…そうゆうこと。
だから最近、学校でも私と話す回数が減ったのねー。
納得。

