夜明け前



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「…グスッ、ざぐー」


「はいはい、泣きたいだけ泣きなさい」


目の前で妹を抱きしめる兄。


兄を思って泣く妹。


こんなふうに、支え合って慰め合って、…二人の世界しか無かった。


…そうさせたのは、俺達大人だ。


差し出す手があったのに。


守れる力があったのに。


有り余る愛情を注げたのに。


つくづく、そう後悔する。


この二人は、悪く言えば異常だ。


依存し合ってる。


そうしなければ、壊れてしまっていただろうから。


けれどそれは間違ってる。


本来なら、朔乃も珠花も対等であり、大人に存分に甘えるべきだ。


だから、そう出来る環境を作ってやればいい。


全力で、幸せにする。


「……二人とも」