「…ジンくん、起きないと襲いますよ」 「……………」 ベッドに横たわるジンを見下ろすアルファは、悪戯したがる指でその鼻をむにゅっと摘まんでみる。 いつのまにか不機嫌そうな両眼は開かれていて、深紅色がまだヴェールを羽織っているかのように曖昧であった。 「ええっ、返答なし、ということはOKと受け取っていいのか…」 な、と言いかけてすぐ、顔面と後頭部の両方向からなにかしら固いものが飛んできた。 顔面の方はジンの足、後頭部の方は、どうやら銀の盆らしい。