仕事、と言っても
ちょっとした文章を直すだけ。

倒れてから
少しだけ緩くなっていた
家事の合間にやるのは
簡単だった。

それでも持って行けば
「ありがとう。
 助かったよ」

とお礼を言われる。

休み時間、
生徒会室に出入りすると
役員の先輩たちとも
少しずつ仲良くなる。

生徒会での仕事は
どんどん楽しくなっていった。

「佐藤ちゃんさ、
 彼氏とかいんの?」

こんな質問をしてきたのは
会計の伊庭(いば)さん。

「いないですよ~」

「マジ?!
 じゃあ俺と付き合わん?」

伊庭さんは校内でも
有名な女たらしだ。

でも別れても
全く恨まれないという
特技(?)を持ってる。

「こら、佐藤をいじるな」

「伊庭ちゃんセクハラ~」

止めてくれたのは深雪先輩。
セクハラと言ったのは、
書記の柚木(ゆぎ)さん。

とっても可愛らしい容姿なのに
なかなか毒舌だ。

「なんで?俺結構マジなんだけど!」

伊庭さんがそう言って
私の手を取る。

でもすぐに
手を別の人に引っ張られた。