「ほんとうに
 ありがとうございました!」
 
「気にしないで。
 生徒の支援は生徒会の仕事だからね」

今日はなんていい日なの。
こんなにたくさん相模先輩としゃべってる。

「お家のこと大変みたいだし
 これからも何かあったら相談して」

そういうと、先輩は首をかしげた。

「そういえば
 名前を聞いてなかったね」

「あ、さ、佐藤ひよりです!
 日本で一番多い苗字に
 ひらがなの名前だからすぐ覚えられます!」

勢いよく言うと先輩はふっと笑う。

「佐藤ひよりくんね。
 ・・・面白いね、君」

「え、そうですか?あはは」
 
とにかく憧れの先輩と話ができて
有頂天になっていた私は、
先輩の『面白いね』に含まれた意味に
気づくことはなかった。