「ところでさ、
 お前ホントに
 相模先輩のこと・・・」
 
寛人が言いかけたときだった。

「おはよう、ひよりちゃん、笠原君」

莉沙がやってくる。

「おはよう、莉沙」

「莉沙、いい加減名前で呼べって。
 同中の仲間じゃん」

苗字で呼ばれた寛人は莉沙に言う。

「うん、でもちょっと恥ずかしい・・・」

そういう莉沙の顔は赤くなっている。
こういうの『おくゆかしい』って言うのかな。

「ま、頑張ってくれよ。
 俺だけさみしーじゃん」

「う、うん」

顔を覗き込まれ莉沙はうつむいてしまう。

「こら、あんまり莉沙を困らせないでよ」

「悪い。
 なんか新鮮だよな。
 お前と違って」

「なんですってぇ!」

確かにそうだけど人に言われるのはムカつく!



・・・でもこんなやり取りでも
 生きてるからできるのよね。


そう思うと怒りもすぐに収まってしまう。

どつかれると思っていた寛人が怪訝な顔で見てるけど気にしない。

帰ったらメイドなんだもの。
高校生活は大切にしなきゃ。