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包帯や消毒液、脱脂綿、ピンセット、中瓶に入った水。諸々が入った白い箱を手にある一室の扉の前で立つ。
「こちらがアッシュ団長の自室となっております」
騎士さんが掌を上に向けて扉を示す。その言葉を合図に一つ深呼吸。箱を片手で持ち直し、軽く掌を握って扉を数回叩いて知らせる。
「アッシュさん、あきなです。いらっしゃいますか?」
部屋の中からの返答はない。
もしかして部屋に戻っていないのか。それか私だと分かって返事をしないだけなのかもしれない。もう一度、扉を数回叩いてみるけど、やはり返答はないまま。
「団長はまだ戻っていないようですね」
「そう、みたいですね」
もしも本当に戻ってないんだとしたなら、あんな状態でどこに行ってしまったんだろうか。視線を下に向け、小さく一つ息を吐き出す。
「また少し経ったら来てみましょう。その時には、戻っているかもしれません」
「……はい、そうしてみましょう」
騎士さんが歩み始め、それに続こうと踵を返す。けれど、どうしても気になってすぐに足を止めて閉ざされた扉を見つめる。
「気になるんだったら、開けて見てみればいいだろ」
「え?」
私の横を通り過ぎたレイが、把手に触れたかと思えば扉を勝手に開けてしまう。唐突な行動に私も騎士さんも目を見開く。
「レイ!? ちょっ勝手に開けちゃ駄目でしょ!」
「は? あんた気になるんだろ。だったら開けて確認してみりゃいい」
それはそうだけど――勝手に入ったりしたら余計に今より関係が悪化する一方。そうこうしているうちに、中に入ろうとするレイを2人で慌てて止めに入る。
「駄目だって! まだ戻ってないんだよ、返答ないし」
「アッシュに嫌われてんだろが。だったら、居留守使われてる可能性大だ」
「いや……まぁ、そうかもしれないけど」
「それにあいつより上の立場だし、入っても何ら問題はない」
「それじゃ、プライベートなんてないじゃない! レイが王子でも少しは考えてあげて」
「煩いな。あんたが入らなくても俺は入る」
「ちょっと、レイ待っ――」
制止も聞かずに、レイは中へとさっさと入ってしまった。閉じられようとする扉に思わず手を添えしまい、どうしようか瞳を動かし思考を巡らせ。一度瞳を閉じて騎士さんに視線を向けた。
「すいません。私も行って見てきます!」
騎士さんの返答も聞かずに、私も中へと足を踏み入れた。



