君がいるから



 先ほど来た時のよりも、本は更に増えて散らかったローテーブル。このままでは何も置けない、本を適当に積み重ねスペースを空ける。何度片付けても、また同じ状態になるのは何故なのか。
 どんなものを読んでいるのか、本を手に取りシンプルに、たぶん題名なんだろう文字しか刻まれていない分厚い本の数々。開いて見ても、細かい文字が紙いっぱいに。文字が読めないのだから分かるわけもなく、すぐさま閉じる。私は両手でしか持てない本を、レイは軽々と持ちながら読む姿はとても不思議。

「何? 人の事いつもそうやって見るの止めにしてくれる」

「はい……すいません」

「…………」

 私の勘違いなのか。さっき来た時よりも、態度が冷たく声音が冷やかになってる気がするのは。首を傾げながらも、昼食をテーブルの上に並べていく。

「あの…遅くなりましたが、昼食です」

「…………」

 顔を伺いそろーっと声を掛け、レイは無言のまま本を閉じた。そして、無言で手を合わせスープ皿を手に取る。レイの様子に私も手を合わせて、小声ながらも挨拶を口にし、プチトマトに似た丸い野菜をフォークで刺し口に運ぶ。

「うん、美味しい。ね? レイ」

「…………」

 空気が何やら重い。レイから不穏な雰囲気が漂っていて、声が掛けづらく、一つまた一つと口に色とりどりの野菜を運ぶ。

(レイが嫌がることでも言ったりしたんだろうか。昼食が遅かったから? そんなことではレイはまず怒らない……はず)

 チラッと見遣り、スープを口にしているレイの姿をとらえる。そこで、小さく深呼吸をし意を決して口を開く。

「あのさ、レイ」

「…………」

「う~んと、何か……怒って……ます?」

「別に」

(うん。やっぱり怒ってる……)

 もう、これ以上話しかけて余計に機嫌をそこねるよりは、そっとしとくしかないと思い食事に集中。

「あぁ……苛つく」

「……へ?」

 ため息をつくレイ、フォークを口に含んだまま見遣る。すると、眉間に皺を寄せながら、碧の瞳が私を見据えていた。

「今、何か言った?」

「……何でもない」

「そっか……」

「…………」

 私から目を逸らすように、視線を俯かせるレイ。

(本当に一体どうしたんだろう……)

「あんたさ」

「……うん?」

 声を掛けられ、ふと視線を上げる。レイの手がスープ皿を置き、今度は先ほどとは違う表情を見せる碧の瞳と出合った。