君がいるから



 ベッドに上げられ、ジンが呆れた表情で頭を摩る私を見ていて。向かい合わせに座り、まだちょっと残る鈍い痛みを手で抑え、視線を俯かせる。

「朝からお騒がせして、す、すいません」

「低いとはいえ危ないだろ。気をつけろ」

「はい……すい、ません」

 謝罪の言葉しか出てこない。それならば、まだ謝罪しなければいけない状態があるとすれば――片手をそろりと上げ、疑問に思っていることを恐る恐る言葉にする。

「あの……ど、うして。ここに寝てたのでしょうか?」

「いきなり座ったまま寝息を立て始めて寝むりこけてたから……俺がここに運んだ」

「あ……す、すいません。重いのに……わざわざ。そのままソファーに放置してもらっても問題なかったのに」

「ほっとけるわけないだろ。ったく」

(これでジンに運ばれたの2回目だ……)

「すいません……。もう1つ――どうして……何故、ここで私達一緒に寝てたのでしょう、か」

「はぁ?」

 言ってはいけない事でも口にしたんだろうか――ジンの眉間の皺が一気に寄って目を細め見てくる。

(にっ睨まれてる、ような感覚は……気のせい?)

「これ、見ろ」

「すごく皺が出来てるけど、これが?」

 見ろと言われてジンが示す先へ視線を落とす。ジンの洋服の一部分だけに皺が出来ており、それは何処と無く不自然で。

「お前のせいでこうなった」

 わけも分からずに首を傾げていたら、ジンは小さく、それでいて眺めのため息をつく。

「ここまで運んで部屋を出るつもりだったんだ俺は。それなのに、服を固く握ってお前は手を離さなかったんだ」

「えっ!?」

「起こそうにも、気持ちよさそうに寝てたからな。その内、離すだろうと待ってたら、俺までつられて眠ってたらしい」

 ジンはそう説明してから、口を大きく開けて欠伸、腕や背中を伸ばす。

「本当に何から何まで……すいませんでした!!」

(あぁ……もう……私は寝てる間まで何をしてるんだかっ)

 自分で自分を呆れるとはこういう事。

「まぁ、終わったことだ。ところで、ちゃんと寝れたか」

「え……あぁ、うん」

「そうか…なら、いい」

「でも、ジンは? ちゃんと眠れなかったん、じゃない? しかも病み上がりだったのに」

 普段の寝る体勢ではなかっただろうし――心配していたら、ジンは私の頭上で数回軽く掌を弾ませた。まるで、何も気にするなとでも言っているような温かくて優しい手つきで。