君がいるから



 喉の奥で微かに微笑むジン。更に私は首を傾げる。

「何? どこか変かな?」

「いや、違う」

 それでも、画面を食い入るように見るジンに、私も横から画面を覗く。

(特に笑える要素はないように思えるんだけどなぁ。それとも、私の写りが悪くて笑った……の、かも)

「こうやって笑うんだな、お前は」

「へ? こうやってって?」

 不思議に思って画面を見ようとした時――窓の隙間からなのか、どこからともなく微かな風が流れて。その瞬間、大きく胸が跳ねる。

「そうやって、いつも笑ってろ」

 間近で聞こえる低い声音。目と鼻の先に――腕を組んで前のめりになり、私の顔に近づける端整な顔立ち。
 トクントクントクン――自分の鼓動が聞こえてくる。口端を上げて、柔らかく微笑むジンの表情に、まるで時が止まってしまったかのように、漆黒の瞳から目が離せない。

「あきな、どうした?」

 彼の一言に我に返って、今の状況に目を見張りつつも慌てて顔を背ける。

「うっううん! 何でもない、何でもないっ」

「というか、顔赤いぞ」

 そう言って、また一段と顔を近づけてくるジンに対し、私は逸らして俯いていく。

(そんなに近づかないでほしい……。どうして、アディルさんもジンもこんなに顔近づけてくるの!? というか……この人達は無意識にやってる?)

 心の中でそう叫んでいると視界に、そっと頬に温かな指先が触れる。途端、思わず体が反応する。

「風呂に入ったせいか……」

 ふと視線を上げたら、また漆黒の瞳と出逢う。それに、さっきよりも距離は近づいていて――ハッと2人の動きが同時に止まる。そして、ほんの数秒。二人の距離が勢いよく開いた。