君がいるから



「山梨あきな。今度は私の名前」

「……本当に違う世界から来たんだな」

「これとはまた違う言葉や文字は、国によって違うんだ。あっそうだ! ジンも書いてみて? この世界の文字見たい」

 シャーペンを手渡し、書いて書いてとノートを彼の前に置く。ジンはシャーペンを色々な角度から見てから、紙の上に文字を書き始めた。どんな文字を書いているのか、興味深々で待ちきれずにジンの横から覗き込む。ジンの手元を見た瞬間、目を見張った。

「それって……何て書いてるの?」

「俺の名前」

「これが……ジンの名前? っというか、そっちの方がくねくねしてるよ」

「そうか?」

(そうか? って。何処からどう見てもこの文字の方が、蛇っぽい)

 くねった線が、ただ繋がってるようにしか見えない。私がそう言うと、ジンはノートを手に取り持ち上げ、ジーッと自分が書いた字と私が書いた字を見比べてる。

「この世界では、この文字が共通なの?」

「あぁ、だいたいな。だが、読めない古の言葉もあったりする。それを使っている種族も国もある」

「へぇ~そうなんだ」

「…………」

 ひたすらノートを見続けて、興味深々のジン。私はまた1つ袋を破りチョコを口に含む。

「なぁ、あきな。お前の世界には他に何がある」

「他に? えっと……テレビとか車とかパソコンとかコンビニとか……たくさん。言い切れない」

「……理解しがたい言葉ばかりだな」

「そっくりそのままお返しします」

 私だってこの世界に来て驚くことばかり。見るもの全て。この状況を帰った時に話したって、信じてもらえないんだろう。はたと再び頭に浮かび、ガラステーブルに置いた携帯を手に取って、機能を立ち上げて。

「ジン!こっち見てっ」

「何だ?」

 ――カシャッ

 ジンが振り向いたその瞬間、親指でボタンを押すと携帯のスピーカーから音が飛び出す。

「やった! えっへへ、記念の1枚頂きました」

「今、それで何した」

「これ? 写真。ほら、ジンが写ってるでしょ」

 言いながら、液晶画面をジンに向け見せる。そしたら、私から携帯を取り食い入るように、今度は画面を無言のまま凝視。あまり表情は変わっていないけれど、たぶん驚いてるんだろう。