君がいるから



 携帯の画面を凝視し続けたまま首を傾げ、眉間に皺を寄せてるジンの姿を見て、小さく声を漏らした。

「今、笑ったか」

「ごめん、つい。まず、この携帯って言うのは、電話っていう機械なの。それで、遠く離れた人と会話が出来るんだ。なぜ出来るかは……私も分からないです」

「ほぉ? この小さいモノで人と話が出来るのか。お前の世界には、便利なモノがあるんだな」

「話す以外にも文字を送りあったり、写真撮ったり曲を聴いたり、地図を見たり。世界中で使われてるんだ」

「よく分からん言葉ばかりだな。それと……何だ、この蛇みたいなくねくねした模様は」

(くねくね?)

 顎に指を添えて、もう片方で画面をちょいちょい突くジンの指先を覗く。先には、ピンクや黄色などでカラフルに彩られた――。

「あぁ、これは私の名前と友達の名前」

「名前? こんなくねくねしたのがお前の名前なのか」

「くねくねって……。私の名前ひらがなだから、多少は丸みはあるけどね――あっそうだ!」

 はたと頭に浮かんだモノをすかさず鞄から取り出し、ガラステーブルの上に置いた。ペンケースとノート。

「ジン。ちょっと見てて」

「あぁ」

 そうジンに声を掛け、ペンケースからシャーペンを取り出しカチカチッと芯を出す。何日かぶりに持つペンは、とても懐かしい気分にさせる。途中まで書かれたノートを広げ、かりかり――ペンを走らせた。

「よしっ! 字はあまり綺麗じゃないんだけど。これ、見て」

 ノートをジンの目の前に差し出す。それを見たジンは、指先で顎をそっと撫でる。

「今度はカクカクしてるな。何て書いてあるんだ?」

「これ、ジンの名前」

「こんなカクカクしてるのがか!?」

 そう私が書いたのは、ジン=ルード=シャルネイ。自分の名前をすごく不思議そうに見ているジン。再び自分の手元に戻して、かりかりとまた文字を書いて、両手に乗せてジンの前へ。